人権文化のまちづくり

名張市人権センター
Nabari City Human Rights Center

2025年名張市人権企業研修会を開催しました!!

 11月14日(金)午後3時から名張市役所大会議室において、講師に大阪企業人権協議会 企業人権協サポートセンター長兼特任講師の芝本正明さんをお招きして、2025年度名張市人権企業啓発研修会「ビジネスと人権を巡る近年の動向と企業の取組」と題してご講演いただきました。

 1点目に、ビジネスと人権を巡る背景と最新の動向について企業としての取組を国際基準に沿って、お話いただきました。近年、企業活動のあらゆる側面に、人権の視点を取り入れることを求める流れが加速している。ビジネスと人権とは一体化して位置付け企業経営を進めていくことが不可欠です、と話され具体的な課題について説明されました。企業による人権対応を巡る背景と動向について、経済活動のグローバル化と国境を越えたサプライチェーンにより、経済活動が変化したことに起因して、世界が環境問題、社会問題、経済問題に直面している。そのことによって、企業が自社利益の過度な優先をすることにより、企業倫理・コーポレートガバナンス(監視・統制する仕組み)・コンプライアンス(法令順守)・人権尊重を軽視した結果、途上国での強制労働・児童労働、製品の偽造、顧客情報の漏洩、労働環境や条件の劣悪化、差別やハラスメント等、人権に負の影響を及ぼす問題が多く発生している。と説明されました。そして、この動きは、法務省資料によると、ここ20年余で急速に加速。SDGsに対応した役割もあることから、日本政府も、2020年「ビジネスと人権に関する行動計画」を出したり、2022年「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定したり、2023年政府調達方針「人権尊重の企業から」を示したりと、対応を加速させているとのことでした。また、日本企業が取引先の調査を強化したり、金融庁と東京証券者がコーポレートに人権尊重の規定を盛り込むなど、人権侵害排除に向けて官民で対応していることに触れられました。
 2点目は、ビジネスと人権の指導原則に基づく企業が配慮すべき「人」へのリスクは?について。企業の事業活動には、そもそも、人々の人権を侵害する可能性、すなわち人権に関する多岐にわたるリスクが常にあると認識しておかなければならず、そのリスクを知り対応することが必要だとおっしゃいました。人権リストの範囲として、企業は、属性や雇用形態にかかわらず、従業員はもちろんのこと、取引先の従業員・顧客・消費者や事業活動が行われる地域住民など、自社の活動に関わる全ての人の人権に配慮しなければならない故、「ビジネスと人権に関する指導原則」は、自社が直接的・間接的に関与している人権侵害に対処することを求めています。人権への影響が深刻であるほど、企業経営へのリスクも大きいため、人権を侵害するリスクの顕在化を防ぐ対応をしておくことが、社会や顧客からの信頼・信用の獲得につながる。そのリスクの詳細として26種類あるが、その中で特に、②過剰・不当な労働時間 ③労働安全衛生 ⑤パワハラ ⑥セクハラ ⑨強制的な労働 ⑫外国人労働者 ⑬児童労働 ⑮個人情報 ⑰差別 ⑱ジェンダー ㉔サプライチェーン上の人権問題 ㉕救済へのアクセスする権利の12項目について、現在の状況や課題など今後の取組に関することについて押さえていただきました。
 3点目は、自社の人権リスク予防に向けた人権デューディリジェンス(人権DD))の取組について。リスクの発生を予防・軽減するために必要な具体策を講じることが必要であり、その為の取組として、Ⓐ人権方針の策定 Ⓑ人権デューディリジェンスの実施 ©救済 の3つの行動が求められている。人権方針の策定の際には、人権方針の5つの条件(企業の最上部の承認、適切な専門家の情報提供、企業活動・製品・サービスに関する者への配慮、全従業員への周知、企業活動方針や手続きに反映)を満たしていることや、防止・軽減するための取組の推進、影響評価、人権研修の実施、そして課題の検証を行うことが大切となる。また、社内環境・制度についても、リスクの予防・是正を目的として、社内規定や労働慣行などの整備や変革を進めることも、柔軟な働き方の実現につながる。と課題と推進をつなげて話されました。さらに、外国人の雇用に関してや、多様な性的指向と性自認を尊重した職場づくり、救済する仕組みづくりに向けても、自社で具体的・積極的に検討し、対応を始めていきましょうと加えられました。
 最後に、中小企業向けの取り組み事例集から、取組の例を挙げられ、これらをすべて行うことは難しくとも、それどれの自社で課題に応じて、一つでも小さくても取り組めるところから始め、それを続けていっていただきたいと締めくくられました。
 

 講師の芝本さんには、資料を基に詳しく分かりやすくお話しいただきました。参加者の方からは、「近年の動向がよくわかった。」「ビジネス活動と人権の関係性について理解を深めることができました。」「ビジネスに関しても人権が大事であることをあらためて感じた。」「役に立つ内容が多く、大変参考になりました。」などご満足いだだける講座になりました。講師の芝本さん本当にありがとうございました。参加者の皆様ありがとうございました。

【参加者のアンケート】
・ビジネス活動と人権の関係性について理解を深めることが出来ました。また、人権侵害が発生しないようにする取組方法も参考になりました。
・近年の動向が良くわかった。SNSの教育の大切さを再認識できた。
・よくわかったし、参考になりました。特にいっぺんでやることが、難しければ一つでも小さいことからでもスタートすることが大事という事が、心に刺さりました。
・世界規模での考え方が、遅れている日本人の人権意識、企業の責任を痛感させられました。
・企業のトップから、真に人権への理解と取組を進める姿勢が重要であると再認識しました。
・人権の企業における幅広さと影響の大きさがわかった。相談においても役に立つことが多く良かったと思います。


  

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