人権文化のまちづくり

名張市人権センター
Nabari City Human Rights Center

2025年度人権ワークショップ課題別講座②を開催しました!!

 10月30日(木)午後4時から名張市教育センター研修室において、講師にインクルシブ教育研究所所長の堀智晴さんをお招きして、2025年度人権ワークショップ課題別講座②「自分の実践を問うことから始めよう インクルーシブ保育・教育を ~子どもたちの育ち合いを支える場づくり~」と題してご講演いただきました。

 1、インクルーシブ保育・教育について
 インクルシブ保育・教育とは、Exclusion=排除ではなく、Inclusionの考え方(いらっしゃい)、いろんな人が助け合って共に生きていこうという考え方。普通の教育・保育が変わらないと障がいのある子が普通の教室に入ることが出来ない。排除することはおかしい。教育・保育も分けないでしていこうというのが、インクルーシブ保育・教育です。障がいのある人もない人も平等に生きていく権利があります。    
 1981年は国際障害者年でした。2006年に障害者権利条約が国連で採択され、日本は、障害者権利条約を2014年1月に批准しましたが、国連で採択されてから、日本の法律を変えるのに8年かかりました。条約の24条にはインクルーシブ教育をめざしましょうと書かれていますが、日本ではインクルーシブ教育ができていません。日本は世界に比べて非常に遅いと話されました。

2、自分の保育・教育実践を見直す4つの視点について
(1)子ども理解
  このことが非常に重要です。目の前の子どもは、「世界に一人しかいない<この子>」。この子理解 を深める。障がいから見てはいけない。誰かが見ているからそう見える。自分の見方を少し変わると少し景色が変わって見える。不十分でも自分を振り返ることが出来ます。子ども理解は、<この私:自分>の仮の理解。<仮の理解①>から<仮の理解②>へ。保育者・先生自身の子ども観・人間観・時代認識が問われる。
(2)子どもへの願い
(3)5つの手立てを連動させる。仲間づくり・集団づくり→育ち合いを育てる
  ①1対1の関り、②友達づくり、③クラスづくり、④保育所・学校づくり、⑤地域社会づくり
(4)環境整備:人的環境の整備(保育者・先生の連携など)、物的環境(自然環境など)の整備

3、自分とは?
 実践研究をする時は、「自分」を見直す必要がある。自分を感じ取る、自覚する⇔他者が見える、他者を感じる。自分と他者と助け合って生きていこう、自分を大事にしよう⇔他者を大事にしよう。
 堀先生は大学での体験を話されました。大学紛争で、自分のことは自分で決めて挙手し発言したことから、自分のことは自分で決めていいんだと悟った。その後、恩師のリハビリを手伝ったことが障害者問題にかかわるきっかけになったそうです。

4、現場での、保育・教育実践研究の中で変えられてきたこと
 「自分の保育・教育実践を見直す4つの視点を」を、もう一度考え直す。
 自分を問い直すことによって、自分が少しずつ変わってきた。

5、ともさんの子どもへの3つの願い
 ①自分で考えて行動して、生きていってほしい。
 ②他者と助け合って生きていってほしい。
 ③自分たちの生きる場をよりよく変えていってほしい。

インクルーシブ保育・教育は友愛の場(助け合って生きる友達関係)
子どもと一緒に実践をつくってほしい。自分の実践をつくってほしい。と話されました。

「なぜ、保育者になったか、、教育者になったか」について、グループワークを20分したのち、各班の代表の方が発表されました。各班皆さんが一生懸命話し合われていました。


 <この子>理解を深める。基本的に人が人を理解することは無理だが、ちょっとは理解できる。努力をしないと保護者とは深まらない。世界に一人しかいないこの子を理解してほしと話されました。
 講師の堀さんは、ご自分の体験をもとにインクルーシブ保育・教育についてご講演いただきました。参加者の皆さんからは、「排除ではなく、その子に合った保育・教育を!」「実践できることを教えて頂けた。」「インクルーブ教育の話がきけてよかった。」などご満足いただける講座になりました。講師の堀さん本当にありがとうございました。参加者の皆さんありがとうございました。

【参加者アンケート】
・年々増えてきている障がいがある子に向き合っていくには、まずは自分を知り、見直すということが大 切という言葉にはっとさせられました。障がいのある子としてみるのではなく、一人の個として関わるということ、理解を深めるということをしていきたい。
・約10年障害児保育をさせて頂いています。目の前にいる子は世界に一人しかいない子。この子の理解をしっかりと深め、自分も他者のことを理解できているのかを考えながら保育していきたいです。
・「排除ではなく、その子に合った保育を!」「いろんな人が助け合っていきていこう!」という考えの保育は、改めてよくわかった。一人ひとりがちがうということ、自分を大切にすること、現場では引き続き続けていきたいと考えている。グループ討議では、「なぜ先生になったか?」という事を話したことで、先生になりたかった幼い頃の気持ちがよみがえってきて、なぜか気持ちがあかるくなった。

【お知らせ】
 講師の堀さんより書籍を寄贈いただきました。ありがとうございます。
 ・インクルーシブな学校と社会を創るーOver The Gap(ちがいをこえて) 堀 智晴 著
 ・子ども同士の響き合い讃歌ーちがうから、豊かになれる 堀智晴 著

名張市人権センターで、書籍の貸し出しを行っております。貸し出し希望の方はご来館ください。
お待ちしております。


 


  
 

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