人権文化のまちづくり

名張市人権センター
Nabari City Human Rights Center

2025年度人権相談力アップ研修会開催しました!

 10月10日(金)午後14:00から名張市役所大会議室において、講師に名張市地域福祉教育総合支援ネットワーク エリアディレクター、元小学校校長、元児童相談所所長の西口成貴さんをお招きして、2025年度名張市人権相談力アップ研修会「虐待・ヤングケアラー・不登校等の把握と支援~名張市子どもたちの今~」について、講演していただきました。

 最初に「エリアディレクター」について、教えて頂きました。名張市ネットワークは3層構造になっており、小学校校区14の地域のまちづくり協議会で、地域の課題を地域の人材で解決する。解決できない場合は、「社会的処方」による支援機能であるまちの保健室には、地域マネジャー(地域環境部)が常駐しており、地域づくり組織と連携して地域の課題を解決していく。多機関協働による包括的相談支援体制で、複合的な生活課題を抱える対象者に対し、「高齢、障害、児童、困窮、教育、保健」の各分野で任命された6名のエリアディレクター(名張市相談支援包括化推進員)が、エリア会議(=重層的支援会議)を通じて、関係部署や機関が行う支援方法の調整等を行います。「このシステムは、名張市独自のものです。」と話されました。
 次に「児童虐待の防止等に関する法律」、第五条(児童虐待の早期発見)、第六条(通告)、第七条(情報源の秘匿)についてお話されました。児童虐待の相談体制として、二つの相談体制「家庭児童相談室」・「児童相談所」の役割について、そして、ネットワーク「要保護児童対策地域協議会」について教えていただきました。児童虐待は、しつけとは異なり、子どもの成長と人格形成に深刻な影響を与えるものです。「身体的虐待」、「性的虐待」、「ネグレクト」、「心理的虐待」の4つのタイプがあります。それぞれの実例をあげてわかりやすく説明していただきました。「日々接している子どもたちのいつもと違う様子や言動など『おかしいな』と思ったらためらわず相談・通告をしてください。」と話されました。
(最寄りの連絡先【児童相談所】伊賀児童相談所 TEL:0595-24-8060
        【名張市役所】子ども家庭室 TEL:0595-63-7594)

 次に「ヤングケアラー」についてお話しされました。名張市では、2021年に「名張市ヤングケアラー支援の推進に関する条例」が制定され、調査の結果28件のヤングケアラーがいることがわかりました。「1日5時間以上兄弟や親などの世話をしたりすることをヤングケアラーといいます。ステップファミリー(少なくとも一人の親が、その親の実子でない子を含む家族)、多子家族(子どもが3人以上いる世帯)が名張市では多い」と話されました。また、高校生では、今まで自分のためにアルバイトをしていたのが、コロナ禍で親の収入が減り、家庭のためにアルバイトをする人がいたり、親の代わりに家事を担う人がいます。子ども自身が家の中でのことを自分でするのが当然だと思っているから、ヤングケアラーを発見しにくい。子どもや保護者も、自分のことは自分でしなければいけないと思っているので、公的支援を受けないことが多い。本人の状況を認めたうえで、「いつでも助けを求めてもいい」ということや、「自分の人生を生きてもいい」ということをしっかりと伝え、他の選択肢もあるということを示すことが重要ですと話されました。ヤングケアラー支援の留意点として、①「ヤングケアラー」であることを、子どもや保護者等が認識していないことを考慮した対応 ②ケアを担っていることを否定しない ③ヤングケアラーであることを公にしてほしくないケースに対する配慮 ④子どもに対するメンタル面でのサポートが必要 ⑤子ども自身を必要な支援につなぐことも検討 ⑥「家族調整」が必要 の6点を挙げられました。

 次に「不登校」についてお話しされました。長期欠席者の中のカテゴリーに不登校があります。不登校になる要因として、「学校における人間関係」、「あそび・非行」、「無気力の傾向」、「不安の傾向」、「その他」などがあげられ、一人ひとりの子どもに応じた対応をすることが大切です、と話されました。そして現在名張市の不登校が増加していることに触れられ、名張市の対策として、緊急・短期・長期のカテゴリー別に連携体制をとって行っていると教えていただきました。
 講師の西口さんには、いろんな事例をあげていただき具体的に分かりやすくお話しいただきました。参加者の方々からは、「簡単な言葉と具体的な話で、とても分かりやすかったです。」「豊富な知識や経験をもとにして、たくさんお話を聞かせていただくことができ、とても勉強になりました。」などご満足いただける講座になりました。講師の西口さん本当にありがとうございました。参加者の皆様ありがとうございました。

【参加者のアンケート】
・西口先生の実体験をおりまぜながら分かりやすくご講演いただき、本当に貴重なお話をきかせていただきました。虐待通報は支援の入り口、あくまで保護者の支援、本人の支援であることを再認識しました。自身も親であるため、ヤングケアラーについても改めて考えさせられる機会ともなりました。本当にありがとうございました。
・2時間があっという間に感じられました。話に引き込まれました。現場の貴重なお話を聞けて良かったです。虐待・ヤングケアラー・不登校の実態を知り驚きもありました。自分も2児の親であるので、他人事とはおもえないですし、今後の子育てに活かしたいです。
・全体的なことだけでなく名張市の特徴、傾向も知ることができ、よりわかりやすく現場にもつなげやすかった。またリアルな話、写真を通して私たちの役割の重要性をより感じました。
・虐待の種類やヤングケアラーに関して、市の様々な機関が手を取り合って話し合い問題解決をしていることがわかった。「189」これはしっかり覚えておこうと思った。親を裁くのではなく支援のための手助けだという事を覚えておこうと思った。



 

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