人権文化のまちづくり

名張市人権センター
Nabari City Human Rights Center

2022年度人権ワークショップ課題別講座②を開催しました!!

人権ワークショップ課題別講座②
 今、改めて同和教育とは
    ~水平社宣言100年の節目に~

 8月5日(金)午後1時30分から、講師に前四日市市立三滝中学校校長 山下博さんをお迎えして、人権ワークショップ課題別講座②を開催しました。新型コロナウイルス対策を十分に取り、52名の参加者の方々とセミナー形式とワークショップをさせて頂きました。

 前半、最初にご自身のことについてお話されました。両親が共働きのため祖父母に育てられ、祖母はこだわりが強く人権や差別に対して祖母からはいいイメージを抱かなかったそうです。「子ども心に何で?と思いましたが、それ以上深く考えることはしなかった。」と話されました。さらに、学校等において人権・同和教育を受けられた時、「強いて言えば道徳。どちらかと言えば規範的・模範的な考え方」だったと話されました。

 次に、下記の図を見て、「てんとう虫がどこにいるか考えてください」と言われました。参加者全員が同じ答えとは限りません。

「てんとう虫はどこにいる?」
 ・左の図を見て考えてください。
  同じものを見ても、同じように見える人も違うように見える人がいます。このこと
  が、多様性とかダイバーシティの考え方です。

 また、「私はここにいる」(別紙)で、設問10問に対して自身の回答を書いていきました。問1~5までと問6~10までの回答が同じでなく違ってきています。書き方が違いますが、設問は同じことを問うています。「自分がいる立場を考える。理想ではあるが、自分の損得があり変わっていくが、ゆらぐ自分を知っているか知っていないかを考えることは大切です。」と話されました。

 そして、15年ほど前に教員として参加した研修会で、講師から「先生は差別をなくせる仕事」であると言われ、差別を許せないと思っていても確かな行動に移せていない自分の弱さや覚悟のなさを指摘された言葉であり、今も私の心に深く残っていると話されました。
 さらに、平等と公正について話されました。公正にするためには、人々と同じ機会、それぞれの置かれている状態を平等にすることだと説明され、参加者は納得して聞き入っていました。。

EQUALITY(平等)EQUITY(公正)
 平等は公正さを推進させるために全員に対して同じものを与える。しかし、それが正常に機能するのは全員のスタート地点が同じ場合に限られる。この場合では全員の身長が同じ時だ、。
 公正さは人々を同じ機会へのアクセシビリティを確保すること。個人それぞれの差異や来歴は、何らかの機会への参加に対し、障壁となることがある。なので、最初にまず公正さが担保されて初めて平等を得ることができる。
BUZZAP(buzzap.jpより)



 後半は、「わたしのものさし」(別紙)を見て、グループに分かれてワークショップが始まりました。設問5問に対する各人の考え方の相違について話し合い、その後グループ毎に発表してもらうことで、深い学びにつながりました。

 「差別の現実から深く学ぶ」について、「今日もあの子が机にいない」から始まった同和教育を30数年前に初任校で知り、そこにある強さや温かさ、現実との矛盾や教育としてあるべき姿についてずっと考えてこられました。ネグレクト、虐待、集団(社会)への畏れ、ひきこもり、貧困、ヤングケアラー・・・。それぞれをひとくくりにできるものではありませんが、起きていることを知ると、私がこれまで同和教育を通して出会ってきた子どもたちやその背景となる家庭が被ってきた現実が浮かんできます、と話されました。
 また、地区懇談会・地域聞き取り学習及び親子人権学習などで、「見えないところで起こっていることが差別」差別する側の本音を体感しました。「差別はする側の問題」であり、知って感じたことを真剣に考えていかなければならない。何もしないことが一番怖いことです、と話されました。
 安心して学べていない子にまず気づき、置かれている状況を正しく知り、周囲を巻き込んでその子の不利な状況を取り除くことができれば、学校は「本来その子が持っている力」を引き出す場所となるのではないかと、私は今もそう信じています、と話されました。

 「今、改めて同和教育とは~水平社宣言100年の節目に~」について、マスクをしたまま3時間、教師生活の中で経験された同和教育を分かりやすくお話いただいた山下先生、本日はありがとうございました。本日の講座において、同和教育の取組について学ばせていただきました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

【参加者アンケートより】
 ・ 今の自分の立ち位置を改めて考えさせられました。許せないと思っていてもそれを行動に移せない弱い自分がいることがわかりました。やはり差別はする側の人間の問題であり、話を聞いて知ることが大事だと分かりました。いろいろな見方をしていくことも大切だと思いました。安心して学べていない子に気づき、不利な状況を取り除いていけるように日頃から子どもたちをみていきたいとおもいました。
 ・生徒や保護者、地域との関り、山下先生の学んで来たことがリアルで、非常に勉強になりました。同和教育は、視点や目標が多岐にわたり大変なイメージで、どこから手をつけるか手探りなことが多かったですが、今回の講座を受けて、自分の中に1つ指標ができたように思います。自分もこれからよく考え、行動し、つみ重ねていきたいと思います。
 ・改めて同和教育について学ぶことができました。山下さんの体験談など、とても具体的でわかりやすかったです。みんな違っていいんだということをすごく感じました。2学期からの学校生活に活かしていけたらと思います。  

 

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