人権文化のまちづくり

名張市人権センター
Nabari City Human Rights Center

2021年度名張市人権啓発企業研修会を開催しました!!

名張市人権啓発企業研修会
 一人ひとりが生きやすい社会のために
    ~「性のあり方」について考える~

 11月4日午後3時から講師に公益財団 反差別・人権研究所みえ 事務局次長 本江優子さんをお迎えして、2021年名張市人権啓発企業研修会を名張市大会議室で開催しました。会場は新型コロナ感染拡大防止対策を十分に取り、45名の方に参加していただきました。。

 最初に、「みなさんがこれまでのさまざまの研修の中で学んできた研修の振り返りとして、今の自分だったら人権とか差別をほかの人に説明する時にどんな風に説明するか考えてください。」と問いかけられました。本江さんは、学びの中で自分なりの答えをだす時に、「世界人権宣言 第1条 すべての人間は、生まれながらにして自由でありかつ尊厳と権利について平等である。人間は、理性と良心を授けられており、互いの同胞の精神をもって行動しなければならない。」を参考にされていると話されました。
 労働分野において平等の捉え方として、「機会の平等」「結果の平等」の2つの視点を持たなければならないと話されました。
 

 次に企業・組織として人権尊重や差別問題に取り組む根拠について、お話しされました。社会的責任(SR)として求められる理由として、2011年ビジネスと人権に関する指導原則(ラギー・フレークワーク)が採択されました。この指導原則には、①企業を含む第三者による人権侵害から保護するという国家の義務 ②人権を尊重するという企業の責任 ③救済手段にアクセスできることの重要性 の従来なかった「企業と人権」を捉える統一的な枠組を定式化されたという大きな意義があります。また、SDGsの行動指針についても話されました。差別、人権侵害が起きているというこうは企業にとってリスクです。人権問題に取り組まない企業は、人権リスクをちゃんと意識することが必要です。人権という視点からの企業活動全体の点検・見直しには【人権デューディリジェンス】が重要であると話されました。
*【人権デューディリジェンス】
 問題発生を未然に防止するために本来払うべき適切な注意   
  

 本日講座のテーマ「性のあり方」について、話されました。「性」を構成する要素①からだの性 ②こころの性 ③好きになる性、誰もが持つ性の要素SO(性的指向)GI(性自認)SOGIについて説明して頂きました。「LGBTQ+の人は日本にどれくらいいると思いますか?」の問いに、日本の総人口1億2571万人に対して約1118万8190人以上(電通ダイバーシティ・ラボ「LGBTQ+調査2020」)8.9%=11人に1人は、日本の中で多い名字5位(5.9%)より多く、80歳の高齢者(9.2%)とほぼ同じくらいだと話されました。三重県「男女共同参画に関する県民意識と生活基礎調査2020.3報告書」によると、言葉の認知度「LGBT:68.0%」・「SOGI16.0%」、三重県「人権問題に関する三重県民意識調査2020.3報告書」によると、仮に身近にいた場合「これまで通りに接する」は年代が上がれば上がる程割合が下がります。実際の調査P&Gジャパン「LGBTQ+とアライに関する全国調査」(5000人)を対象に身近にLGBTQ+の人がいるのかを調査したところ、いない:41.7%、わからない:49.8%と約8割の人が身近にはいないと思っています。この調査5000人の中には、実際9.7%性的マイノリティの人がおられました。77.8%はカミングアウトしていない、44.9%に人は「自分らしく生きられない、職場や家族・地域などで生きづらさを感じている」という結果でした。
☆ P&Gジャパン「LGBTQ+とアライに関する全国調査」
   https://kyodonewsprwire.jp/release/202105255385 
    

 さらに、国や自治体の近年の動きや三重県・県内市町の取り組み等についてお話されました。2015年、文科省の「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施について」、2016年、厚労省の「公正な採用選考の基本にLGBT等を排除しないことが必要と記載」、2018年、性同一性障害の治療として行われる性別適合手術に健康保険の適用が始まる、等法律の整備が進んでいること。また、県内伊賀市やいなべ市の「パートナーシップ宣誓制度」の開始、今年4月に施行された「性の多様性を認め合い誰もが安心して暮らせる三重県づくり条例」や9月に開始された三重県「パートーナーシップ宣誓制度」について等、国内・県内の動向をお聞きしました。
 最後に、一人ひとりが加害者にならないようにしなければならない。差別や人権侵害、ハラスメントは「加害者」がいるから「被害者」が生まれる、互いの人権を尊重し合う関係性をつくるためには、自分の中にある”あたりまえ”、”ふつう”を振り返り、だれも排除「されない、しない、させない」ことが、大切です。すべての人が、「どのような生き方、振る舞いを選択しても、それが尊重され、受け入れられ、生かされる社会へ」Diversity(多様性) Equity(公平)&Inclusion(包括)を考えることが重要であると話されました。

 「一人ひとりが生きやすい社会のために ~「性のあり方」について考える~」について、マスクをしたままで長時間の講演をしていただいた講師の本江さんありがとうございました。参加していただいた皆様ありがとうございました。わかりやすく丁寧に講演していただき、研修会に参加することで、自分自身を見つめ直す機会になりました。本日は、ありがとうございました。

【参加者のアンケートから】
・「ふつう」「あたりまえ」の認識が日々変わっていく中で、それが人を傷つけ 
 事があるということを忘れず、日々周りの人の様子を見ていき、良い方向に進  
 めると良いなと思いました。
・参加して良かったです。私自身の知識も更新できました。今後職場で、正しい
 知識を持って、行動していける子どもたちを育てていきたいと思います。
・「加害者」がいるから「被害者」が生まれる。まさにその通りだと思いまし
 た。自分の“ふつう”を考えなおす研修が必要であると改めて思える研修でし
 た。 
・LGBTQの問題と言うと設備や法整備の問題になりがちだが、それ以前の差別
 を許さない意識の問題ということに改めて気付かされた。



 

 

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