人権文化のまちづくり

名張市人権センター
Nabari City Human Rights Center

2021年人権ワークショップ課題別講座①を開催しました!!

人権ワークショップ課題別講座①
  子どもの人権を大切にするコミュニケーションのあり方
    ~子どもの心に響く効果的なほめ方・叱り方~

 7月27日(火)午後1時30分から、講師に奈良市立六条小学校校長 中嶋郁雄さんをお迎えして、人権ワークショップ課題別講座①を開催しました。今年も新型コロナウイルス感染拡大防止対策を十分に取り、71名の参加者の方々が集まってくださいました。ワークショップ形式で開催される講座ですが、距離を取りながらのセミナー形式としました。

 最初に中嶋先生は、「学校現場での課題は何ですか?」と問いかけられました。″ICT教育が課題″、″コロナ禍の中での生徒の活動制限や学校生活をどう進めていくかが課題″など、意見が出ました。学校現場での課題の一つとして、大人が、子どもの負担を除いてしまっていて、自分の口から話すことをできなくしている。そもそも子どもは、活動的・切り替え上手・素直なので、叱ることに意義があります。「こわい、周りにどう思われるか、自分は否定されたくない」という気持ちから「ウソや言い訳、責任転嫁、反抗的な態度」がでることがあります。これは、子どもの中にある弱さが原因です。この弱さと、幼・小・中の時にたたかわせなくてはならない。その時期に経験させないと、弱さをまるだしにしたままになる。その年齢の時に弱い自分にうち勝つ勉強をさせないと、言い訳・ごまかしを学んでしまう。したがって、うまく叱らないことで、強くなる機会を奪い、学びの場を奪うことが課題であるとおっしゃいました。また、子どもへの配慮や保護者への防御を気にし過ぎている現場にも課題があると思います。「叱り」は大事な教育ですとまとめられました。

 「叱り方についての知識」では、子ども・教師・状況をすべてを考慮して複合させ、叱る事が大事だとお話しされました。また叱る時、「1子ども2教師3状況の中でもっとも大切なものはなんですか?一つ選んでください。」1の子どもを選んだ人が大多数でした。先生からは、子どもを大切に考えるのは大事ですが、教師を一番大切に考え、「自分がどのような教育観に基づいて叱っているか、子どもに対する指導はブレない姿勢で徹底的にすることが大切です。」と話されました。
 「関わり方チェック」については、例として「保護者から習い事が多いから宿題が多くて困ると言われた→宿題を減らしましょう→他の保護者から不満が出る」のようなことがある。常に自分の教育観をしっかりもって、保護者に信念をもってきちんと話すことが大切である。教師の子どもへの関わり方のチェックとして次の5点が重要である。①子どもの状況を見守っているか②喧嘩の際は両方の言い分を聞いているか③必ずやり直しをさせているか④子どもの口から悪かったことを言わせているか⑤休む・体調良くない等を子どもの口で言わせているか。子どもが失敗した際は、自分の行動に責任をもつことを学ばせる絶好の機会として、しっかり教育を行うことを怠ってはいけない。
 「叱り方の原則」では、①気づかせる②納得させる③反省させる④改善させるのステップで進みます。「子どもの自律を助ける・子どもとの関係を築く・叱りを苦痛にしない」などの叱り方の工夫をしましょう。「ネグレクト教育はしてはいけません」と話されました。
 後半は、演習問題を参加者の皆さんで考えるワークショップ形式で始まりました。①反抗的な子どもに対する叱り方②クレームの多い親の子に対する叱り方③叱り方に悩んでいる教師の3点について、それぞれの演習を行い、考えた意見を発表しあっていただきました。
 

 子どもの人権を大切にするコミュニケーションのあり方について、マスクをしたままの3時間、丁寧に分かりやすく講座を進めていただいた中嶋先生、本日は本当にありがとうございました。ご参加いただいた皆さんに、本日の講座での子どもの叱り方について、今後に生かしていただけたらと思います。本日はありがとうございました。

<参加者のアンケートより>
・まずは自分がどう考えるか。自分は教師として何を伝えたいのかが基本で、?り方にはそこをしっかりと反映させていかなくてはならないと思いました。
・子どもに教育する立場として自分の中にまげない信念をもつことが大切だと分かりました。″徹底する″ことが叱るきびしさにつながると知ったので、2学期からの教育に活かしていきたいと思います。
・叱るにあたって、大事にすべきこと、特に「気づかせる」「納得させる」ということは、意識できていなかったので、今後は注意して指導したい。叱り方に困っていたので助かりました。
・「叱る」という指導が難しいと感じていた自分にとっては、非常に有意義な時間になりました。教師のもつ″教育観″や″こういう子どもたちを育てたい″という思いが自分はまだ明確になっていません。そこが不安なところですが、今後、より子どもたちと向き合って確立させていきたいと思います。
・最近は「ほめる」ことに重点を置いた指導が重視されている。もちろん「ほめる」ことは大切だが「叱る」という事の重要性や意味に的をしぼって話をしていただけたのがほんとうによかった。このような機会をありがとうございました。

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