<成年海外協力隊員>性同一性障害、初の公開(毎日新聞より)

 ◇タイでエイズ感染者支援へ

 心と体の性別が一致しない性同一性障害(GID)の永崎公志朗さん(24)=鹿児島県=が来年1月、国際協力隊機構(JICA)青年海外協力隊の一員としてタイに赴任する。JICAによると、性的少数者と本人が公表した隊員の派遣は1965年の事業開始後初めて。今回の件を踏まえ、JICAは募集要項に性的少数者への配慮することを新たに記した。永崎さんは「性的少数者が幅広く活動する契機になれば」と話している。

 永崎さんは女性として生まれたが、GIDに悩み、北九州市立大学在学中から男性名を名乗っている。大学で国際協力について学び、途上国で病気に苦しむ子供らを支援したいと考え昨春、協力隊に応募した。だが「不合格時にGIDのせいと悩みたくない」と思い、戸籍の女性名で出願。昨夏、合格した。

 しかし、ブログで一連の経緯をつづると、GIDという人から「性別の問題でやりたい仕事に挑戦することをためらう人は多い」とのメッセージを寄せられ心が揺れ動いた。「自分がGIDを公表して働くことで同じ境遇の人が活動しやすくなることにつながれば」と決心。「自分は性同一性障害。永崎公志朗として活動したい」。今年2月、JICAにそう電話で申告した。

 すると3月末にJICAから6月に予定されていたアフリカへの派遣延期の通知を受けた。アフリカは性的少数者への理解が進んでいないというのが理由。「自分は社会のお荷物なのか」。GIDを申告したことへの後悔も込み上げ、人目をはばからず涙した。

 協力隊の研修に備えて会社を辞め、アルバイトをしながらJICAからの連絡を待っていた6月末。タイへの派遣の連絡があった。性的少数者に理解がある国への変更だった。永崎さんは「JICAとタイの受け入れ先のおかげで活動できありがたい」と感謝する。年明けから2年間、エイズ感染者らを支える活動などに携わる。

 JICAは現地でプライバシーが確保できる環境を整えるとしており、9月から募集要項に性的少数者向けに「配慮が必要な場合は募集前に連絡を」と明記した。

 永崎さんは公志朗の名で活動することをブログにつづった。「活動でキャリアを積んでいきたい。後に続く人たちのためのJICAの人に性同一性障害に対して配慮してほしいことも伝えたい」

 ◇性的少数者に配慮した職場作りを進める「虹色ダイバーシティ」(大阪市)の五十嵐ゆりさんの話

 永崎さんのようにGIDと積極的に公表したうえで途上国など海外で働くケースは程度知られていない。彼の行動は性的少数者に大いに参考になる。JICAの対応は一定の評価をするが、性的少数者がもっと応募しやすいように努めるべきだ。