くらしの明日 私の社会保障論 広がる男女格差 平等の理念、学び直しを=立教大学教授・湯沢直美/毎日jp

 144カ国中114位、主要7カ国(G7)では最下位ーー。これは、国際機関「世界経済フォーラム」が11月に公表した2017年のジェンダーギャップ(男女格差)指数の結果である。昨年の111位からさらに後退した。

 各国の順位は「経済活動の参加と機会」「教育達成」「政治参画」「健康と生存」の四つの分野から、男女による格差(不平等)を把握する指標により決定される。日本は健康分野で1位と抜きんでている一方、教育分野74位、経済分野114位、政治分野123位と格差が大きい。 

 教育分野は男女平等が進んでいるようにみられがちだが、日本の高等教育の在学率の男女比は101位にとどまる。経済分野では、「勤労所得の男女比」が100位、「幹部・管理職での男女比」が116位と厳しい。政治参画は、昨年の103位から123位へ大きく後退している。

 女性が社会的・経済的に不利な立場に置かれたままにしておくことは、女性への暴力を温存することにつながる。暴力被害を深刻化させ、生命の危機にさらされる日常を拡大させることにもなりかねない。女性に対する暴力は、男女不平等の原因でもあり、結果でもあるからだ。実際、配偶者間における犯罪(殺人・傷害・暴行)の被害者の9割強が女性である。

 1993年に国連総会で採択された「女性に対する暴力の撤廃に関する宣言」をご存知だろうか。女性に対する暴力は、女性が人権や基本的自由を享受することを侵害したり無効にしたりするものであり、「女性が男性に比べて従属的地位に置かれることを余儀なくさせる重大な社会的構造の一つである」と明記している。

 女性に対する暴力には、家庭内での暴力▽一般社会(職場、教育機関を含む)で起きる暴力▽国家によって行われるか許容されている暴力ーーの三つがあると規定し、その暴力を撤廃する政策を講じるよう国家に求めている。

 女性の活躍推進がうたわれながら男女不平等の是正が一向に進まない。国会議員や省庁職員をはじめとし、国家、基礎自治体、地域社会など、それぞれのレベルで男女平等の理念や不平等解消の必要性を学び直すことは喫緊の課題だろう。

 それにもかかわらず、文部科学省の組織再編では、男女共同参画学習課を「室」に格下げし、共生社会学習推進課へ統合する案が打ち出されているという。このような政府の動きは、基礎自治体における男女平等推進政策を後退させるおそれが大きい。あらゆる政策の主流に、性を基軸とした性別や不平等の解消を掲げることが望まれる。